こんにちは、keiです。
以上が、各研究演題に対する講評でした。お気づきかもしれませんが、誉め言葉のみです。私は、誉め言葉が人を育てると思っています。ですから、直接的に声をかけるときは、誉め言葉を先に、そして、苦言は優しく後にかけるようにしています。
後に、かけないと誉め言葉より先にかけると、記憶に残らないから...ということもありますね。では、ここから、少々、きついことを、申してまいります。どううか、耳を塞いでお聞き下さい。
<タイトルが標語?、古典的?、抽象的?>
研究タイトルが標語のようで、どのような研究内容であるかが具体的に読み取りずらい印象を受けました。研究タイトルは研究の「顔」ですから、研究内容が見えるように、具体的に、どんな研究なのか、キーワード、研究方法などを盛り込んで説明的な表現で、表示されることをオススメします。サブタイトルをそのままタイトル表示に盛り込んでも良かったと思える発表が多くありましたので、今後、検討下さい。
<研究方法の明確な提示>
研究デザインの表記のない論文を認めました。看護研究には看護科学として学問的に決められた手段があります。看護研究法には大きく分けて「1.量的研究デザイン」と「2.質的研究デザイン」の大別があります。これらの研究手法を使い、看護実践で生じた問題を解決していくのが看護研究です。
量的研究デザインでは、比較的、よく使用されるのは、質問紙を使用した実態調査研究などです。質的研究デザインは、一つの事象をありのまま観察し、新たな見方・考え方をいだしていく方法で、比較的、使用されるのは、事例を分析した事例研究などです。
最近の研究方法の動向としては、質的データを系統的に分析する、社会学の手法、グラウンデッドセオリー法が臨床での事例研究に使用されています。また、質的研究でも、CPを使用した分析ソフトの開発が行われています。これら、研究方法の表記をされることで、さらに研究論文としても科学性が増してきます。
今後の研究方法の参考にされて下さい。
<被験者の尊厳 V.S 研究者の科学的価値>
次に、研究者の皆さんが最も、ご苦労された点が自らの研究意欲である「科学的価値」、対象への倫理的配慮に関する「被験者の尊厳」についてではないでしょうか。
2004年、日本看護協会は「看護研究倫理指針」を発行し、看護者が社会的責任において看護研究を行う際の倫理的配慮に関する基本的な考えを示すことを理念として、研究実施の際、研究対象者が脆弱性を有することを念頭に倫理的配慮を行う、研究対象者に敬意をもって対応する、先行研究を十分吟味して研究に対して謙虚な姿勢で臨む、職務と究活動の区別など、詳細な倫理指針を示しています。
他にも看護研究倫理指針の中には、看護管理者は、ゲートキーパーとして部署内の看護研究の進行を把握する、輪番制で看護研究を強制することは看護研究の質を低下させるなどの指摘があります。これを機会に皆さん今一度ご一読下さい。
すでに、みなさんの施設にも、来年度の日本看護学会開催要項が届いていると思います。
それによると、論文投稿時は、研究課題とその背景にあるものを先行文献から調べる、さらに、研究結果が出ているテーマを繰り返すことは、研究対象者に不必要な労働力を与えることになり倫理的に問題が生じると指摘されています。また、「当院」「当病棟」などの表記については、固有名詞を使用していることと同じ状況になり、そのため、施設の種類・機能を紹介するに止め、研究フィールドが特定されない表記を推奨されています。
研究対象者の個人情報の記載については、本日、発表された論文にも共通して言えることですが、研究論文のデータを解釈するのに必要な情報の記載は必要ですが、それ以外の対象者の個人情報は特定されない表記にするか、記載自体を避ける必要があります。
文献については、論文中に先行研究として引用する文献はすべて引用文献になります。
今後、研究を行う際には、看護への貢献があると判断された研究であっても、研究計画、研究プロセスの各過程で研究者としての倫理的問題はないか、対象者の尊厳、安全や関係する全ての尊厳を脅かす研究ではないか、といった倫理的判断を繰り返し、研究を遂行されて下さい。
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